あきる野市の税理士による会社設立講座~中小株式会社の機関設計~
はじめに
会社設立をお考えの西多摩地域(あきる野市・青梅市・福生市・羽村市)のみなさん、こんにちは。
あきる野市の税理士による会社設立講座をご覧いただきありがとうございます。
今回は中小株式会社の機関設計について見ていきましょう。
1 機関設計の柔軟化
株式会社を設立するときに検討すべきことがらの1つに,どのような種類の役員を何人置くかなど会社の機関設計の問題があります。
かつては会社の大小を問わず株式会社には株主総会,3人以上の取締役,取締役会,監査役を必ず置かなければなりませんでしたが,平成18年の会社法施行後は株式会社の機関設計は大変自由度の高いものとなり,それぞれの会社の規模や業務内容などのニーズに応じて柔軟に選択できるようになりました。
この株式会社の機関設計について,中小企業の場合を念頭に以下にまとめてみます。
2 必要的機関
すべての株式会社が必ず設置しなければならない機関(必要的機関)は,株主総会と最低1人以上の取締役です。
かつて必要的機関とされていた取締役会と監査役は必ずしも設置する必要はなく,取締役の人数も1人でも済むようになりました。
したがって,最もシンプルな機関構成は,経営者が株主と取締役を兼ね,株主総会と取締役以外の機関は設置しないというものになります。規模の小さい会社や実質的には個人経営であるような会社にとってはこのような機関構成で十分経営を進めて行くことができますし,わざわざ名目的な取締役や監査役を置く必要もありませんのでコスト的にも有利になります。創業当初は最低限の機関構成で出発し,会社の発展に応じて定款を変更して機関を増設して行くこともできますので,新規に開業する会社にとっては便利な制度になっています。
3 任意的機関
前項に述べた株主総会と取締役以外の機関は,それぞれの会社の規模や状況に応じて任意に設置することになります(任意的機関)。
任意的機関には,取締役会,監査役,監査役会,会計参与,会計監査人,委員会(指名委員会,監査委員会,報酬委員会),執行役があります。
ただし,これらの機関の設置は完全に自由に選択できるわけではなく,一定の制限があります。この制限を踏まえた機関構成の種類は39通りに及びます。
この任意的機関のうち,監査役会,会計監査人,委員会,執行役は中小企業に必ずしも適した機関とはいえず,これらも含めて説明すると却って分かりにくくなってしまいますので,ここではこの4つの機関は省いて説明を進めることにします。
4 中小企業における機関設計の基本的なルール
中小企業が機関構成を検討する場合の基本的なルールは次のとおりです(前項最後に述べた4つの機関に関するものは省略しています)。
(1) 株主総会と取締役(ただし1人でもよい)は必須。
(2) 公開会社(定款に株式の譲渡制限の規定を置いていない会社のこと。いわゆる「上場会社」のことではないので注意)は,取締役会が必須。取締役も3人以上置かなければならない。
(3) 公開会社でない会社(定款に株式の譲渡制限の規定を置いている会社)は,取締役会は任意。
(4) 取締役会設置会社は,監査役が必須。ただし,大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社)でない会社では,監査役の代わりに会計参与を設置すれば足りる。
会計参与は,税理士(または税理士法人)か公認会計士(または監査法人)の資格が必要で,計算書類について専門的見地からの監査を行うものです。
このルールを一覧表にすると,中小企業の機関構成の種類は次のようになります(株主総会は全会社必須なので省略しています)。
A 公開会社でない会社 | a 取締役のみ |
b 取締役+監査役 | |
c 取締役+取締役会+監査役 | |
B 公開会社 | a 取締役+取締役会+監査役(または会計参与) |
※いずれの場合もこれに加えて会計参与を設置することができる。
中小企業では定款に株式の譲渡制限の規定を置いていることが多いでしょうから,公開会社でない会社(A)にあたることが多く,現実にはA-a,A-b,A-cの3種類の中から機関構成を選択することになるでしょう。
5 機関設計のポイント
A-a,A-b,A-cの3種類の機関構成のいずれにするかを検討する場合のポイントは次のとおりです。
先ほども述べましたが,経営者が個人で会社を設立・経営していく場合には,A-aを選択すれば身軽に創業することができます。役員報酬などのコストを節減できますし,会社の発展に応じて役員を増やしていくこともできます。
これに対して,複数の創業者で会社を立ち上げる場合には,A-aを選択して取締役を複数置くこともできますが,A-cを選択して創業者らが取締役会を構成して合議で経営を行っていくことも検討の対象となります。
この場合には,取締役会を設置することのメリットとデメリットを比較して検討することになります。
取締役会設置のメリットとしては,対外的な信用を高めることができること,取締役間の監視が行き届きやすくなること,株主総会の権限の一部が取締役会に移るため迅速な意思決定ができることなどが考えられます。
逆にデメリットとしては,監査役を設置しなければならないため人材やコスト面の問題があること,株主総会の招集手続がやや面倒になること(書面による通知や計算書類・監査報告書の添付などが必要になる)などがあります。
なお,A-bは,取締役は1名で十分だが監査役を設置することによる対外的な信用を獲得したいという場合に選択することが考えられます。また,監査役の代わりに会計参与を設置することでも同様の効果を得ることはできるでしょう。
会計参与はどのような機関構成を取っても設置することが可能です。ただ,親族などにも頼める監査役と異なり,会計参与は税理士(または税理士法人)か公認会計士(または監査法人)であることが必要となります。
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おわりに
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